マレーシアのタブー、実を言うと色々あります。マレーシアは世界有数の多民族国家であり、マレー系(約7割)、中華系(約2割)、インド系(約1割)、プラスその他の民族で構成されています。マレー系の多くはイスラム教徒、中華系の多くが仏教徒、インド系の多くがヒンドゥー教徒、他にも様々な宗教を信仰している人々が暮らしている国です。そのため宗教ごとにタブーとされている事柄があるため、マレーシア訪問前にぜひ知っておくべきことを紹介します。
怒るのはタブー
マレーシアは、赤道近くの東南アジアに位置する国です。首都クアラルンプールは、平均気温が最低で27℃、最高が33℃であり、日本の夏のような気候が1年中続きます。そうした気候のせいもあってか、マレーシア人は陽気で温厚な方が多いです。そのため、集合時間に遅れて来たり、接客の対応が遅かったり、電車やバスは時刻表から大幅に遅れてきたりといったことが日常茶飯事です。しかし、そうした状況の中で怒ってしまうことはタブーです。確かに、日本人は決まり正しく、時間厳守できっちりしている人が多く、お客様は神様として崇められる文化があります。そんな日本での当たり前は、マレーシア人、ひいては世界での当たり前とは限りません。神経質な日本人からしたら少し腹立たしい場面もあるかと思いますが、ぐっとこらえてのんびり陽気に過ごしてみるようい意識してみましょう。
左手は使うことはタブー
イスラム教の人々にとっては、左手は「不浄の手」とされています。食事の際や誰かに物を渡すときは右手を使うようにしましょう。左利きの人にとっては少し不便に感じることもあるかもしれませんが、イスラム教徒の方と関わる際は、十分に注意しましょう。ちなみに、マレーシアは多くの民族が共存しておりお互いの文化や考え方を柔軟に受け入れている為、仮に左手を使ってしまった場合でも大きな問題になることはほとんどないと思います。しかし、お互いの文化をリスペクトするからこそ、それぞれの文化のタブーについては知っておくべきです。
むやみに握手を求めるのはタブー
ついつい外国に来ると、挨拶の時はハグをしたり握手をするなど、日本よりもオープンになってしまう時もあるかと思います。しかし、特に初対面においてはイスラム教徒の女性に対しては握手を求めたり、触れることはタブーです。もしイスラム教徒の女性から握手を求められた場合は、快く握手に応じるべきですが、力を入れすぎず軽い握手で応じる方が無難です。いずれにせよ、イスラム教徒の方に直接触れることは避けた方がよいです。
子どもの頭には触れるのはタブー
小さな子どもは可愛くて、ついつい頭を撫でたくなる時もあるかもしれませんが、絶対にやめましょう。イスラム教において、頭は神聖な部位とされています。日本では子ども頭を撫でてあげることは、褒めてあげたりなどポジティブな意味をもちますが、イスラム圏ではタブーです。子どもだけでなく、イスラム教徒の方にむやみに触れたりすることは控えましょう。
過度な露出はタブー
マレーシアは常夏の国で、ほぼ毎日半袖のTシャツと短パン、サンダルで過ごすこととなると思います。しかし、イスラム教の寺院やモスクに入る際は、長袖やロングパンツを履くなどして、極力肌を見せる格好は避けなければならず、サングラスや帽子も脱ぐ必要があります。寺院やモスクはイスラム教徒にとって神聖な場所であるということを忘れず、TPOに応じた対応を心がけましょう。
人差し指を使うのはタブー
人や物を示す際に、人差し指を立てて指し示すことはタブーです。道を聞かれた時などの方向を示す場合は、右手の親指だけを立て親指で指し示すようにしましょう。グッドの手と覚えていただければよいと思います。
イスラム教徒は豚肉がタブー
イスラム教徒は宗教上食べてはいけないものがいくつかありますが、その最たる例が豚肉です。イスラム教徒の啓典であるコーランに示されており、イスラム教徒は豚肉を食べることを禁じられています。仮に直接豚肉を食べないとしても、一度でも豚肉を調理したり、食べる際に使用したフォークやスプーンを使うことも禁じられています。そのため、多国籍な料理を扱うレストランでは、フライパンや食器などを料理別に分けてある場合もあります。ちなみに、日本でも最近話題となっているハラルフードとは、イスラム教徒でも食べてよいとされている食べ物のことを示します。
ヒンドゥー教徒は牛肉がタブー
インド系マレー人の多くはヒンドゥー教の方が多いですが、そのヒンドゥー教徒は牛肉を食べることを禁じれています。ヒンドゥー教は多神教であり、三神一体を教義としていますが、そのうちの一つであるシヴァ(破壊神)は牛を乗り物としているため牛は神聖であり、殺すことを禁じられているのです。イスラム教徒であるマレー系マレーシア人が豚肉を食べない一方、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないことも覚えておきましょう。そのせいか、マレーシア人は国民の多くが食べることを許されている鶏肉が人気です。ハンバーガーショップであるマクドナルドも、マレーシアではフライドチキンが代表メニューとして浸透しているほどです。他にも、ラム肉も多く流通しています。
イスラム教徒はお酒がタブー
アルコールもイスラム教徒が禁じられている代表的なものの一つです。アルコールによる酔いは、唯一神であるアッラーへの礼拝の妨げになるという教えだそうです。路上などイスラム教徒の目がつく所では、飲酒は控えた方がよいです。
ギャンブルは基本的に禁止
イスラム教徒はギャンブルも禁止されています。宗教上禁じられている人もいる一方、国としてはなかなかグレーなラインです。実際競馬場があったりカジノがあったりはするので、一部許されている場所では許されている、多国籍な国ならではの特徴かもしれません。日本でも友人間での掛けポーカーや掛け麻雀は、良し悪しのラインがあいまいなのでわかりませんが、中華系は麻雀やトランプゲームが大好きです。特に旧正月の期間は親戚や友人が家に集まって掛けポーカーをすることなども、もしかたしたらあるかもしれません。もし警察が来たりしたらなかなか厄介なことになるので、気を付けるべきです。
マレーシアでのタブーまとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。特にイスラム教を中心に禁止されていることが多くあり、マレーシアに訪問することに不安を感じてしまうかもしれません。しかし、マレーシアの人々はお互いの文化や価値観を認め合いながら、絶妙なバランスで共存している国です。禁止されていることはやってはいけませんが、もしマナー上悪いことをしてしまっても、理解してくれる人がほとんどです。注意点には留意しつつも、そうした文化や宗教の違いを楽しむことができるのがマレーシアの魅力です。ぜひ、多民族国家であるマレーシアに訪問してみてください!